
この秋から、特に週末が近づくたびに朝から目をはらしております。
出勤前のお楽しみ、『ちりとてちん』のせいです。
今朝の草原さんには、またほろっと涙してしまいました。
今までの朝のテレビ小説の中でも、一気にトップに躍り出たって感じです。
(あ、私の中での”朝ドラお気に入りランキング”で、ですがね。)
小学生の頃、日曜日の午後にNHKでやっていた『お好み演芸会』で
母がカセットテープに録画してくれた落語を聞くのが楽しみで、
何度も何度もテープが伸びるくらい聞いたものです。
そのときに聴いていた演目のひとつが、2代目桂小南さんの『転失気』。
内容は・・・
あるときお寺の和尚さんが、病に倒れてしまいます。
診察にきたお医者さんに
「てんしきはありましたかな?」と聞かれるのですが、
素直に知らないと言えない和尚さんは、
わからないまま「ありません」と答えたものの、
「てんしき」が何か気になってしかたがありません。
そこで、小坊主のちんねんさんに
「てんしきとは何か?」とたずねます。
「わかりません、なんですか?」と尋ねるちんねんさんに、
「お前は教えても、すぐ忘れる。わからなければ
和尚に聞けばいいと思っているから すぐ忘れるのだ。
今回はあえて教えないから自分で調べてきなさい。」
と、八百屋や花屋に聞きに行かせるのですが、
みんな「てんしき」が何か知らないので、
売り切れただの、棚の上においておいたらねずみにひっぱられただの、
味噌汁の具にして食べちゃっただの、適当な返事をします。
ちんねんさん、ますますわけがわからず・・・。
そこで、薬を取りにいくついでに、先生に聞いてみるのですが、
なんと「てんしき」とは・・・。
・・・てな感じで、話が進んでいくのです。
で、この『転失気』のお話が私も母も大のお気に入りなのです。
この落語を聴いて以来、何かにつけて私が母に質問をすると
「人から教えてもらうと、すぐ忘れる。自分で調べなさい。」
と和尚口調で答えます。未だにです。もう30年近くです。
もうさすがにカセットテープもとっくになくなっていて、
ずいぶん聞いていませんでしたが、
お話はもちろん、和尚さんとちんねんさんのやりとりや、歩き方まで
なかなか忘れないものです。
他の噺家さんの「転失気」を聴いたこともありますが、
やっぱり小南さんじゃないとね。全然、物足りないのですよ。
そんな私たち親子の心に深く根付いた(?)小南さんの『転失気』が収録された
DVDを見つけました。
今観ても、すごく面白いです。
ひとりで声を出して笑っちゃいました。
収録されているのは、私たちが聞いていたのよりも
10年以上後のものでしたので、”まくら”の話が違ったり、
まるっきり同じ言い回しではないところもありますが、
面白さは全然変わりません。
まぁ、私の笑いの感性が子供の頃から
変わってないってことなのかもしれませんが、
落語というものは、子供から大人まで楽しめるものだし、
いつの時代に聞いても廃れることなく
面白いものは面白い、芸術だということです。
みんなが、落語を聞いて笑って暮らせば、
この世知辛い世の中のいやーな事件もずいぶん減ると思うんですがね・・・。
ちなみにこのDVDに入っているもうひとつの演目『胴乱幸助』は、
喧嘩の仲裁が趣味の幸助さんのお話。
そうです、『ちりとてちん』の魚屋食堂の幸助さんみたいな人の話です。
しばらくは毎晩寝る前に小南さんに笑わせてもらいますよ♪
この記事へのコメント
ちょっと軽めの高座でも、連れていってみたくなりました。
私は子供の頃は、テレビやカセットテープでしか
落語を楽しむことがなかったのですが、
感受性の豊かな子供の頃に、生で楽しめるって
すごくいいことだと思います♪
手始めに、”転失気”DVDいかがでしょうか?
今度お貸ししますよ♪